『ミス・サイゴン』は、『レ・ミゼラブル』のクリエイティブ・チームが手がける第2弾として製作され、日本では1992年から1年半の帝劇ロングラン以来、通算上演回数1463回を重ねる大ヒット作です。
舞台は、ベトナム戦争末期のサイゴン。
エンジニアの経営するキャバレーで知り合った、ベトナム人の少女キムと米兵クリスの二人の愛、別離、運命的な再会。そして、キムの子タムへの究極の愛・・・『ミス・サイゴン』はすべてを歌で表現します。
装置のスケールも規格外で、キムとクリスの別離は、実物大のヘリコプターが登場する象徴的なシーンとしてあまりにも有名です。音楽、スケール、魂を揺さぶる感動、どれをとっても「伝説」として語り継がれる作品は、『ミス・サイゴン』をおいて他にありません。
戦争の悲劇が私達とそう遠くない世界で繰り広げられる今、少女キムの思いを帝劇の空間いっぱいに心を込めてお届けします。
ストーリー
1970年代のベトナム戦争末期、戦災孤児だが清らかな心を持つ少女キムは陥落直前のサイゴン(現在のホー・チ・ミン市)でフランス系ベトナム人のエンジニアが経営するキャバレーで、アメリカ兵クリスと出会い、恋に落ちる。お互いに永遠の愛を誓いながらも、サイゴン陥落の混乱の中、アメリカ兵救出のヘリコプターの轟音は無情にも二人を引き裂いていく。
クリスはアメリカに帰国した後、エレンと結婚するが、キムを想い悪夢にうなされる日々が続いていた。一方、エンジニアと共に国境を越えてバンコクに逃れたキムはクリスとの間に生まれた息子タムを育てながら、いつの日かクリスが迎えに来てくれることを信じ、懸命に生きていた。
そんな中、戦友ジョンからタムの存在を知らされたクリスは、エレンと共にバンコクに向かう。クリスが迎えに来てくれた−−−心弾ませホテルに向かったキムだったが、そこでエレンと出会ってしまう。クリスに妻が存在することを知ったキムと、キムの突然の来訪に困惑するエレン、二人の心は千々に乱れる。したたかに“アメリカン・ドリーム”を追い求めるエンジニアに運命の糸を操られ、彼らの想いは複雑に交錯する。そしてキムは、愛するタムのために、ある決意を固めるのだった−−−。